下記の記事によると、「北アフリカの出身国で同性愛者だとして迫害され来日した30代男性が、日本政府の難民不認定処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁は27日、1審に続き請求を認め、難民に該当すると判断した。 三木素子裁判長は判決理由で「帰国すれば同性愛者であることを理由に、拘束や訴追を受ける恐れがあると評価すべきだ」と指摘した。」
昭和56年(1981年)10月15日発効の「難民の地位に関する条約(1951年)」第1条は、難民とは「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」をいうと定義している。
令和5年3月 出入国在留管理庁『難民該当性判断の手引』によれば、「性的マイノリティは、難民条約上の迫害理由にいう「特定の社会的集団 の構成員」に該当し得る。」とされている(10頁)。
そして、「国籍国等において、ジェンダーを理由として、伝統的・文化的な規範又 は慣行に基づき、生命、身体又は自由の侵害又は抑圧及びその他の人権 の重大な侵害(例えば、FGM等の身体に対する侵害・暴力)を受けるお それがある集団に属する者は、特定の社会的集団の構成員であることを 理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する 者に該当し得る。」とされている(12頁)。
イスラム教では、婚姻関係にある者同士(つまり夫婦)の性交以外は禁止されている。婚前交渉や姦通と同様、同性愛は、イスラム共同体を破壊しかねない重罪とされている。特に男色については、死刑とする説が有力だ。ただし、処刑方法に関しては、石打ち刑(これは姦通罪と同じ)、火刑、あるいは町で最も高い建物から真っ逆さまに突き落とすなど、諸説ある。
判決文が公表されていないため、上記記事の難民申請者が「北アフリカ」のどこの国の出身なのか、その国では同性愛についてどのような刑罰を定めているのか、その執行状況、同性愛者に対する迫害の状況、当該申請者が母国で同性愛をカミングアウトしたのか等が分からないので、なんとも言えないが、形式的に見れば、大阪高裁判決の言う通りだと思う。
ただ、同性愛者かどうかをどのように判断するのだろうか。性同一性障害については、医学的に判断可能だが、性自認については、医学的に判断不可能だからだ。
また、日本に入国したイスラム教徒が同性愛を理由に難民申請するケースが増える可能性がある。
イスラム教諸国では、同性愛者であることがバレないように生活しているから、通常、迫害されたりしない。同性愛者であることがバレてしまって、やむを得ず難民申請するならば、まだ理解できる。
しかし、母国でバレていないのに、日本に入国後、同性愛者だと公言して難民申請するケースについては、確かに、帰国すると迫害される可能性があるが、そもそも同性愛者であること自体が虚偽の可能性がある。
率直な感想を述べれば、同性愛を最優先に国を捨てるくせに、同性愛を禁止しているイスラム教を信仰し続けながら、難民として他国のご厄介になる人は、胡散臭くて信用できない。
そもそも同性愛を禁止するイスラム教が悪いわけだから、国に踏みとどまって同性愛が認められるようイスラム教の教義を改めさせるか、同性愛を認める別の宗教へ改宗するかするのが筋だろう。どちらもしない人は、愛国心が欠如し、ご都合主義で自己中心的に思えるのだ。
イスラム教指導者として、世界で初めて同性愛者であることをカミングアウトしたとされる南アフリカのムフシン・ヘンドリクス氏は、2月15日、銃撃され殺された。
「ヘンドリクス氏は、イスラム教の伝統的な解釈に異議を唱え、思いやりと包摂性のある信仰を支持した」そうだから、南アフリカに留まって、イスラム教の教義を改めようとしたのだろう。
イスラム教を信仰し続けるならば、ヘンドリクス氏に続くべきではないのか。
クルド人だけで出入国在留管理庁は、手一杯らしい。
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