アメリカ合衆国憲法は、「何人も、2回を超えて大統領の職に選出されてはならない。」と定め(修正第22条第1節)、大統領を3期務めることを禁止している。
ところが、下記の記事によると、2期目を務めるトランプ大統領は、3期目も務めたいそうだ。
そこで、考え出されたのが a loophole in the constitution「憲法の抜け穴」を使う方法だ。これは、未だかつて裁判で争われたことがないものだ。
すなわち、憲法修正第22条は、大統領に2期以上「選出」されることを禁止しているだけで、「継承」については何も言及していない。
トランプ氏が、2028年の大統領選で別の共和党候補者(おそらく現政権のJ・D・ヴァンス副大統領)の副大統領候補になって、選挙でこの陣営が勝った場合に、大統領候補は、大統領に宣誓就任した直後に大統領を辞任して、継承順位1位の副大統領であるトランプ氏が代わりに大統領になる、という寸法だ。
これは、憲法修正第22条が大統領3選を禁止した趣旨を没却するものであって、まさに脱法行為だ。脱法行為とは、強行法規に直接には違反しないが、実質的にはこれを免れる行為をいう。
また、米ノートルダム大学のデレク・ムラー教授(選挙法)が述べているように、憲法修正第12条が「憲法上大統領の職に就く資格のない者は、合衆国副大統領の職に就くことができない」と定めていることにも違反する。
これを実施したら、裁判沙汰になることは必定だ。
cf.1アメリカ合衆国憲法修正第22条
第1節 何人も、2回を超えて大統領の職に選出されてはならない。他の者が大統領として選出された場合、その任期内に2年以上にわたって大統領の職にあった者又は大統領の職務を行った者は、何人であれ1回を超えて大統領の職に選任されてはならない。ただし、本条の規定は、本条が連邦議会によって発議された時に大統領の職にある者に対しては適用されない。また、本条の規定は、それが効力を生ずる時に任期中の大統領の職にある者又はその大統領の職務を行う者が、その任期の残余期間中大統領の職にあり、又は大統領の職務を行うことを妨げるものではない。
第2節 本条は、連邦議会がこれを各州に提出した日から7年以内に、全州の4分の3の議会によって憲法の修正として承認されない場合は、その効力を生じない。
cf.2アメリカ合衆国憲法修正第12条
選挙人は、各々その州に会合し、秘密投票によって、大統領及び副大統領を決定する。この2人のうち、少なくとも1人は、選挙人と同じ州の住民であってはならない。選挙人は、その投票において大統領として投票する者を指名し、別の投票において副大統領として投票する者を指名する。また選挙人は、大統領として投票されたすべての者又は副大統領として投票されたすべての者の表並びに各人の得票数の表を作成し、これらの表に署名し証明した上、封印をして上院議長に宛て、合衆国政府の所在地に送付しなければならない。上院議長は、上下両院議員出席の下に、すべての証書を開封し、次いで投票が計算される。大統領として最多得票を獲得した者を大統領とする。ただし、その数は任命された選挙人総数の過半数でなければならない。もし何人も上記の過半数を得なかったときは、大統領として投票された者のうち、3名を超えない最高得票者の中から、下院が直ちに秘密投票により大統領を選任しなければならない。大統領の選任に際して、各州の下院議員団は1票を有するものとし、投票は州を単位として行う。この目的のための定足数は、全州の3分の2の州から1名又はそれ以上の議員が出席することによって成立し、また選任のためには全州の過半数が必要である。もし上記の選任権が下院に委譲された場合に、下院が次の3月4日まで大統領を選任しないときは、大統領の死亡又はその他の憲法上の不能力を生じた場合と同様に、副大統領が大統領の職務を遂行する。副大統領として最多得票をした者を、副大統領とする。ただし、その数は任命された選挙人総数の過半数でなければならない。もし何人も上記の過半数を得なかったときは、右の表のうち、2名の最高得票者の中から、上院が副大統領を選任しなければならない。この目的のための定足数は、上院議員の総数の3分の2とし、また選任のためには総数の過半数が必要である。しかし何人といえども、憲法上大統領職に就く資格のない者は、合衆国副大統領の職に就くことができない。
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