愛知県豊橋市の多目的屋内施設(新アリーナ)を巡って建設反対派の新市長と建設推進派の市議会の対立していることについては、以前述べた。
この豊橋市議会が、空席の有無を問わず、議会運営委員会(議運)の傍聴を断っているそうだ。市議会議員の傍聴を優先し、「議運室で開くのが慣例なので(より広い)別室の使用は考えていない」というのがその理由(?)だ。
豊橋市議会委員会条例第37条第1項は、「委員会の会議は、公開する。」と定めており、その例外は、同条例第61条第1項の秘密会だけだ。
同条例第37条第1項が委員会の会議を公開と定めたのは、有権者の知る権利に応え、委員会の会議を有権者の監視下に置き、民主的コントロールを図るためであると考えられるから、有権者よりも議員の傍聴を優先することは、同条項の趣旨を没却するものとして許されない。
会議室のキャパシティを超える傍聴希望者がいる場合には、正当な理由があるとして傍聴拒否が認められる余地があると解するが、本件の場合には、傍聴希望者の需要を満たす広い別室があるにもかかわらず、慣例を理由に狭い議運室をあえて会場にしており、正当な理由があるとはいえない。
したがって、豊橋市議会の当該傍聴拒否は、同条例第37条第1項に違反し、違法ということになる。
市議会としては、議会運営委員会にて市長派に知られたくないことを話し合っているのだろうか。仮にそうだとしても、委員会の記録は、秘密会の記録を除き(同条例第62条)、公開されるので(同条例第71条)、正確に記録せず、又は記録を改竄しない限り、傍聴を拒否しても意味がないと思うのだが、市長派に対する嫌がらせなのだろうか。
なんにせよ、市長と市議会の対立が激化すると、板挟みになる職員さんたちが困るだろうなぁ〜。市長と市議会が対立するのは、政治である以上、致し方ないが、双方とも法令を遵守して、フェアーにやってほしいものだ。
<追記>
下記の記事によると、「公開している会議録に、1月以降は「傍聴者なし」と記載していたことが分かった。実際は記者や一般市民が開放された扉の外で傍聴していた。専門家は一連の対応を「限りなく条例違反に近い」とし、会議録の記載方法も疑問視した。」
傍聴を拒否しておいて「傍聴者なし」と虚偽の内容を会議録に記載するのは、虚偽公文書作成罪(刑法第156条)に該当する。
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