過ちては改むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ

 公益社団法人「日本駆け込み寺」の事務局長がコカイン所持で逮捕された。一緒にいた20代女性も、コカイン使用で逮捕された。

 事務局長は、自分で使用するために所持していたと供述しているそうだが、一緒にいた女性は、「日本駆け込み寺」の相談者で、この女性に使用を勧めた疑いがあるそうだ。

 公益社団法人「日本駆け込み寺」の創設者で代表理事である玄 秀盛(げん ひでもり)氏は、Wikipediaによると、「1956年、大阪府大阪市西成区の在日韓国・朝鮮人の家庭に生まれる。 中学卒業後、自動車修理工を皮切りに寿司屋、トラック運転手、靴屋、葬儀屋、キャバレー店の店長など28業種を経験した。さらに建設、不動産、調査業など10社あまりの会社を起こす。サラ金も経営したため、ヤクザとの抗争も絶えなかった。」とある。

 2012年に日本国籍を取得している。

 玄氏は、2011年7月に一般社団法人「日本駆け込み寺」を設立し、2012年11月に公益社団法人「日本駆け込み寺」に組織変更している。

 公益社団法人「日本駆け込み寺」がどれほど立派な仕事をしていたとしても、事務局長が相談者にコカインを使用させたとなれば、公益社団法人を隠れ蓑とした組織ぐるみの犯罪かと疑われても仕方あるまい。

 警察の厳正な捜査を望む。


 ところで、公益社団法人については、内閣府のHPに次のように概要が説明されている。


 「従来の民法による公益法人制度では、法人設立の主務官庁制・許可制の下で、法人の設立と公益性の判断が一体となっていましたが、「民による公益の増進」を目的として、主務官庁制・許可主義を廃止し、法人の設立と公益性の判断を分離する公益法人制度改革関連三法が平成20年12月に施行されました。公益法人制度には社団と財団の法人類型があります。」


 「一般社団法人・一般財団法人

 制度改革により創設された一般社団・財団法人は、剰余金の分配を目的としない社団又は財団について、その行う事業の公益性の有無にかかわらず、準則主義(登記)により簡便に法人格を取得できる一般的な法人制度です。法人の自律的なガバナンスを前提に、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律において、法人の組織や運営に関する事項が定められています。」


 「公益社団法人・公益財団法人 

 一般社団・財団法人のうち、民間有識者からなる第三者委員会による公益性の審査(公益目的事業を行うことを主たる目的とすること等)を経て、行政庁(内閣府又は都道府県)から公益認定を受けることで、公益社団・財団法人として税制上の優遇措置を受けることができます。」

 このように公益社団法人・公益財団法人になると、「みなし寄付金」と呼ばれる税制上の優遇措置が受けられるため、悪用されぬように公益性の審査・公益認定が行われるのだが、非営利団体を隠れ蓑としたマネーロンダリング(資金洗浄)対策が不十分だと言われている。

 また、一般社団法人が相続税逃れの手段として悪用されていると指摘されている。

 さらに、書類さえ整えれば認証されるNPO法人の事例だが、反社会勢力がNPO法人を隠れ蓑にしていたことが発覚している。

 大雑把ではあるが、このような悪用事例に鑑みると、従来の主務官庁制・許可主義の方がマシではないかと思えてくる。

 従来の公益法人は、官僚の天下り先として補助金を吸い上げる受け皿になっていたりするなど、マイナス面がある一方で、監督官庁の許可が必要であったため、設立するにはかなりハードルが高く、行政の厳しい監督により犯罪に利用されることがほぼ皆無だったからだ。


 






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