しみったれた話 <追記>

 下記の記事によると、沖縄県金武町(きんちょう)の町長が、2023年ハワイ、2024年ブラジルに海外出張をした際に、ビジネスクラスを利用し、随行員である町職員との差額57万円の返還を求める住民監査請求がなされたそうだ。

 これに対し、町側は、町長の座席は、ビジネスクラスではなく、料金がより安い「プレミアムエコノミークラス」だと説明。

 「総務課長は議会での答弁で「長時間のフライトのため、現地に着いてすぐ公務に当たれるよう座席を選定した」「(随行職員よりも多く)支出できないというわけではない」と述べた。

 金武町からハワイやブラジルに移民に行った人々が多いことから、町長は、ハワイとブラジルに海外出張なさったのだろう。

 海外出張の是非や必要性についてはともかくとして、航空運賃については、町長の場合も(金武町特別職の職員で常勤のものの給与及び旅費に関する条例第5条)、職員の場合も(金武町職員の旅費に関する条例第27条)、実費となっている。

 問題なのは、町長がビジネスクラス又はプレミアムエコノミークラスを利用したことが公益に反し不当なのかどうかだ。


 平成11年の地方自治法改正により、国と都道府県と市町村は、対等協力関係になった。国の代表である内閣総理大臣がファーストクラス(実際には政府専用機)を利用することが許されるならば、県の代表である知事や市町村の代表である市町村長も、財政状況に応じてファーストクラス又はビジネスクラスを利用することが許されて然るべきだといえなくもない。住民の代表たる首長には、一定の敬意が払われるべきだからだ。


 この点、町側の説明によれば、町長は、プレミアムエコノミークラスで、随行員たる町職員は、エコノミークラスを利用しており、町長に対する一定の敬意が払われている。


 プレミアムエコノミークラスは、エコノミークラスよりもシートピッチと幅が若干広いだけで、料金も、ビジネスクラスがエコノミークラスの約3倍〜約5倍であるのに対して、約1.8倍〜約2.2倍にすぎず、町の財政にやさしい良心的な選択をしていると言える。

 この程度の出費で、目くじらを立てるのは、大人気ない。


 町長さんが現在70歳であることを考慮すると、エコノミークラスは、いくらなんでもお気の毒だ。長距離を仕事で移動し、町長のお守(も)りをしなければならない町職員さんも、プレミアムエコノミークラスにしてあげてほしいぐらいだが、町長と隣同士は、却(かえ)って気疲れしそうで、嫌がるかな?苦笑


 以上、床屋談義で恐縮だが、町長がプレミアムエコノミークラスを利用したからといって、裁量権の逸脱・濫用があったとはいえず、不当ではない、という監査結果が示されるのではなかろうか。


 貧乏な私には一生縁がないファーストクラス

<追記>

 ブラジルを公式訪問中の佳子内親王殿下が、ブラジルの国内線でエコノミークラスをご利用あそばされていた。おいたわしや。ブラジルの当該国内線がエコノミークラスしかないとか、搭乗時間が極めて短いとか、特段の事由があれば別だが、せめてビジネスクラスの手配をしていただきたい。

 もうこれで、首相や首長も国内線でエコノミークラスを利用しなければ、世間から叩かれることになろう。

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