みなし公務員

 イタリアは、サッカーの審判員に対する暴行事件の増加を受け、イタリアサッカー審判協会(ISRA)との協議を踏まえた結果、刑法を改正して、サッカーの審判員を公務員とみなし、審判員に警察官や他の公務員と同等の法的保護を与えたそうだ。

 今後、審判員に対する暴行や脅迫は、公務執行妨害罪として、場合によっては懲役刑に処せられることになる。

 いやはやサッカーの審判員が「みなし公務員」とされるなんて、イタリアらしい。日本ではちょっと考えられない。


 本来、公務員ではないので、国家公務員法及び地方公務員法の規律を全面的に課す必要はないが、その職務の内容が公務 に準ずる公共性及び公益性を有している者や公務員の職務を代行する者として、その公正妥当な職務遂行を担保するため、 必要に応じて、個別法で刑法その他の罰則の適用について公務員としての扱いを受ける者を、いわゆる「みなし公務員」と 呼ぶ。

 通常、個別法で「刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」又は「役員及び職 員は、法令により公務に従事する者とみなす。」等と規定されている。     


 みなし公務員には、例えば、駐車監視員(道路交通法51条の12第7項)、指定自動車教習所の修了検定及び卒業検定の技 能検定員(道路交通法99条の2第3項)、日本郵便株式会社の従業員である郵便認証司(内容証明の業務に従事する者及び 特別送達の業務に従事する者に限る。郵便法74条)、公共サービスの実施に従事する者(競争の導入による公共サービスの 改革に関する法律(公共サービス改革法)25条2項)などがある。     


 このようなみなし公務員規定によって、みなし公務員には秘密保持義務が課され、違反行為に対しては刑罰が課されるし、 また、刑法の贈収賄罪や公務執行妨害罪も適用されることになる。 

    

 しかし、みなし公務員規定は、公務員法の規定により公務員に課されている義務を課すものではないことから、みなし公 務員規定があっても、これらの者に対して公務員法上の信用失墜行為の禁止、政治的行為の制限、労働基本権の制限が課さ れることにはならない。

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