所管事務調査権

 地方自治法第109条第2項は、「常任委員会は、その部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、議案、請願等を審査する。」と定められている。

 地方議会の常任委員会の権限として、付託案件の審査だけでなく、所管事務の調査権が認められているわけだ。


 所管事務の調査権は、常任委員会にだけ認められているものであり、それを積極的に活用し、その成果を ① 付託議案の審査に活かす、② 所属委員が特定の調査事項について委員会としての意見を議案等として提出する、③ 執行機関を監視し、 チェックする等の役割を果たす等が期待されている。


 例えば、長野県飯田市議会は、所管事務調査が「市民の皆さんへ十分お伝えできていなかったため」、所管事務調査のガイドラインを策定している。

 「所管事務調査に係る一連の流れを「見える化」することで、常任委員会の委員の構成が変わっても活動が途切れないようにするためのものであり、政策サイクルを回すための有効な手段」だそうだ。

 さいたま市は、6月定例会で調査研究テーマを設定して、定期的に所管事務調査を実施しているが、これ以外の自治体では、所管事務調査の名目で行政視察を実施するのが一般的であって、議員の物見遊山に悪用されることもある。

 下記の記事にある栃木市のケースのように、何か問題があった場合に所管事務調査を実施するのは珍しいのではないか。

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