「水と安全はタダ」というのが日本人の常識だった。それほど日本は、安全で自由に水を使うことができたわけだ。
地球全体の水(14億立方キロメートル)のうち、97.5%が海水で、淡水は、たったの2.5%にすぎない。しかも、この2.5%の淡水のうち、1.76%が氷河等であるため、残り0.74%のうち、比較的使いやすい河川・湖沼などの淡水は、わずか0.01%にすぎない。
このように世界的に見ると、下記の3つの要因から、「日本は、豊かな水資源に恵まれた奇跡の国なのだ」。
①日本は、世界の平均降雨量970mmに比べて、モンスーン気候により年間降雨量が1750mmで、豊かな自然水に恵まれていること(気候環境)
②日本は、石灰岩が少ない火山性大地(火成岩)によって濾過(ろか)されてミネラル分が100mg以下の自然の軟水が地下水として豊富に湧き出てくること(地質環境)
③日本は、国土が狭いのに、国土の3分の2が森林であるため、豊かな水を蓄えてくれること(地形環境)
ところが、
①日本の人口が多いため、日本人1人当たりの平均降水量は、世界平均の6分の1程度で、水が貴重であるにもかかわらず、浪費していること
②表層水と呼ばれる河川・湖沼などの水を豊富に使えるのが日本の特徴だが、表層水は、地下水に比べて汚染されやすいこと
③開発によって森が減少し、植林による針葉樹林化に伴い森林の保水力が低下していること
によって、日本の水資源が危機に瀕している。
これに加えて、地下水は、土地所有者の私有財産だという日本の法制度の欠陥により、中国人が水源地を購入するケースが増えている。
これは、単なる外国人の土地所有という商取引の問題にとどまるものではなく、地下水を汚染することにより、日本人の生存を脅かす国防問題でもあるのだ。「水難民」という問題を指摘する人もいる。
内閣官房水循環政策本部事務局は、地下水マネジメントの必要性を説いている。
今のところ、自治体が条例を制定して水源保全を図ろうとしているが、自治体任せにするのではなく、法律を改正して、地下水を「公共財」として国や自治体が管理する法制度を整備すべきだ。
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