徳島県知事である後藤田 正純(ごとうだ まさずみ)氏の座右の銘は、「逆命利君」(ぎゃくめいりくん)なのだそうだ。
前漢の劉向が編んだ『説苑』に「逆命利君、謂之忠」(命(めい)に逆(さか)らいて君(きみ)を利(り)する、これを忠(ちゅう)と謂(い)う)とある。
主君の命令であっても、それが主君のためにならなければ、その命令に逆らうことこそが本当の忠義なのだ、というわけだ。
まず、主君の命令を上司の命令に置き換えてみよう。
地方公務員法第32条には、「上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」と定められている。
上司の職務命令が違法ではないかと思っても、それが重大かつ明白に違法ではない限り(ex.赤信号を無視しろ)、その命令に従わなければならない。
部下が勝手な判断で行動すると、違法行為による人権侵害の危険があるし、また、ピラミッド型の行政組織においては、組織としての一体性を確保するため、適法か違法かの判断は、上司の判断が優先するからだ。
もちろん部下が上司に諫言(かんげん)を申し上げることは構わないが、上司の命令に従わないのは、違法なのだ。
「逆命利君」は、叛逆行為を助長し、上命下服の行政組織の内部規律を乱すものとして、許されない。
次に、主君の命令を法に置き換えてみよう。
法とは何かについては、法哲学の問題であり、学説が多岐に分かれているが、例えば、ジョン・オースティンは、「法とは、刑罰という脅威によって裏付けられた、主権者による命令である」と述べている。
「逆命利君」は、たとえ法であろうと、それが主権者のためにならないと判断すれば、法に違反しても構わないということになり、法秩序、法治主義は根底から崩れ去る。
このように「逆命利君」は、危険思想なのだ。
さて、11月の県庁開庁日は18日あったのに、後藤田知事が登庁したのは、そのうち7日だけだったそうで、連絡体制が問題になっていた。
どこかの知事も、K-popコンサートをやると言ったりするなど、なぜか韓国好きの首長が多いようだが、今度は、後藤田知事が、「徳島市内で行われたイベントで、「修学旅行は国内ではなく韓国へ」という趣旨の発言をする自身の姿を高校生に動画で撮影させ、校長に見せるように依頼」し、生徒は、実際に動画を校長に見せたそうだ。
「韓国便を誘致している県として「利益誘導」に当たるのではないか」、「修学旅行の行先は生徒らのアンケート結果などをもとに校長が決定することから、知事の行為は権力者として不適切であり、教育に対する政治の不当介入だ」と問題視されているらしい。
0コメント