「反面教師」という言葉がある。日本では、「悪い見本として反省や戒めの材料となる物事。また、そのような人。」(『デジタル大辞泉』小学館)という意味で用いられている。
この「反面教師」という言葉を知ったのはいつだったろうか。正確な年月日は思い出せないが、小学生の頃だから、1970年代だった。
当時のマスコミは、中国の毛沢東(もう たくとう)が行った文化大革命を絶賛していた。「反面教師」は、毛沢東が作った言葉だ。
毛沢東は、悪いことをした人を組織から排除せずに、「反面教師」(原文では「反面教員」)と呼んで組織内で孤立させて、晒(さら)し者にして周りの人にこれを指弾させ、周りの人への戒めとしたことに由来する。
要するに、中国共産党の方針に批判的な人や積極的に支持しない人などを組織から追放せずに「反面教師」と呼んで、吊し上げ、組織的にいじめさせるのだ。毛沢東率いる中国共産党の言うことを聞かないとこういう酷い目に遭うぞと脅かして、中国共産党に逆らってはならない、中国共産党を積極的に支持しなければならないと周りの人に戒めを与えるわけだ。
毛沢東らしい実に陰湿なやり方で、反吐(へど)が出る。
日本では、昔から「人のふり見て我がふり直せ」(「他人の行いの善悪を見て、自分の行いを反省し、改めよ」『デジタル大辞泉』小学館)と言われていた。
「反面教師」とは異なり、ここにはいじめの要素が一切ない。
ところで、先週、名古屋市教育委員会事務局職員が、教員団体から金品を受け取っていたことが報道された。
教師の不祥事は枚挙に遑(いとま)がないから、何が発覚しても、すっかり慣れてしまって驚きはしないが、どのような会計処理をしていたのかが気になるし、事実関係如何によっては刑事事件に発展する可能性がある。
名古屋市教育委員会に、いまどき「毛沢東、万歳!」のイカれた連中はいないだろうが(いても驚きはしない。)、「反面教師」として組織にとどめることはしないでもらいたいものだ。
長年、組織ぐるみで金品の授受を行なっている以上、組織にとどめても「反面教師」として組織内で孤立するはずがなく、むしろ「災難でしたね〜」、「運が悪かったね〜」と同情され、場合によっては却って箔がつきかねないからだ。
ここは日本だ。「武士の情けで切腹を命ずる」(諭旨免職処分という名の辞職)なんて生ぬるいので、打首獄門(懲戒免職処分にして、氏名を公表)にしろ!
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