思慮が足りない <追記>

 以前から「本当に弁護士なのか?」と思わざるを得ない言動を繰り返す大阪府知事吉村氏が、「0歳から選挙権を持ってもらうべきだ。そうすると、若い世代に政治家が向くことになる。親・保護者が代理で選挙権を行使する。僕は子どもが3人だから、4票の影響力がある。少子化の問題を抜本的に解決するなら『0歳児選挙権』だと思う」と述べ、『0歳児選挙権』を日本維新の会のマニュフェストに加えるそうだ。

 大阪・関西万博が赤字又は黒字になった場合にどうするかについて何も決めずに、見切り発車するだけでは飽き足らないようだ。

 改めて述べるまでもないのだが、日本国憲法第15条第3項は、成年者による普通選挙を保障しているので、『0歳児選挙権』は、同条項を改正しない限り、認められない。


 また、日本国憲法第44条は、一人一票の平等選挙を保障している。0歳児の「親・保護者が代理で選挙権を行使する」ことは、親・保護者という社会的身分によって実質的に一人複数票を認めることになるから、許されない。


 このように普通選挙・平等選挙の趣旨を没却する吉村氏は、単に司法試験に合格しただけで、普通選挙・平等選挙がこれを実現するための先人たちのたゆまぬ努力の成果だということを知らないのだろう。


 また、『0歳児選挙権』を認めよと主張する吉村氏は、国民=兵士=有権者という近代国家のイロハも知らぬようだ。

 「少子化の問題を抜本的に解決するなら『0歳児選挙権』」ではなく、累進課税・相続税という社会主義政策をやめることだということも分からぬようだ。



cf.日本国憲法

第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。 

② すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。 

③ 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。 

④ すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。


 吉村知事については、以前このブログで触れた。

<追記>

 制限選挙・不平等選挙を是認するわけか。生者の傲慢な寡頭政治だな。

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