100万円の罰金では軽すぎる

 公職選挙法の一部改正案が今国会で成立する見込みだそうだ。

 「改正案は、ポスターに候補者の氏名を見やすく記載する規定を設け、営利目的の行為をした者に100万円以下の罰金を科すと規定。付則には、SNS規制や「2馬力」運動への対応を念頭に「必要な措置」を講じると明記した。」

 100万円以下の罰金では軽すぎるだろう。というのは、例えば、立候補者と無関係な動物の写真等のポスターが貼られた都知事選の場合、立候補届の際の供託金は、300万円だ。300万円を没収されても構わない連中にとって、100万円以下の罰金では抑止力にはならないからだ。

 品位の問題を通り越して、業務妨害の問題であって、偽計業務妨害罪(刑法第233条)に匹敵する行為だから、3年以下の拘禁刑に処すのが相当だ。

 総務省・内閣法制局の立法能力が低下しているなぁ〜と思ったが、念のために調べてみたら、この改正案は、議員立法だった。

衆法 第217回国会 9 公職選挙法の一部を改正する法律案

メインへスキップ 公職選挙法の一部を改正する法律案要綱 (ポスターの品位保持) 1 ポスター掲示場に掲示するポスターの記載に関する義務の新設  (1) ポスター掲示場に掲示する個人演説会告知用ポスター及び選挙運動用ポスターには、その表面に、ポスターを使用する公職の候補者の氏名を、選挙人に見やすいように 記載しなければならないこと。  (2) 公職の候補者は、その責任を自覚し、ポスター掲示場に掲示する個人演説会告知用ポスター及び選挙運動用ポスターには、他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害し又は特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をする等いやしくもポスター掲示場に掲示されるポスターとしての品位を損なう内容を記載してはならないこと。 (第144条の4の2関係) 2 ポスター掲示場に掲示したポスターにおける営業宣伝に係る罰則の新設   ポスター掲示場に掲示したポスターその他の文書図画において特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をした者は、100万円以下の罰金に処すること。 (第235条の3第2項関係) 3 施行期日等  (1) この法律は、公布の日から起算して1月を経過した日から施行すること。  (2) この法律による改正後の公職選挙法の規定は、この法律の施行の日以後その期日を公示され又は告示される選挙について適用し、この法律の施行の日の前日までにその期日を公示され又は告示された選挙については、なお従前の例によること。  (3) 選挙に関するインターネット等の利用の状況、公職の候補者間の公平の確保の状況その他の最近における選挙をめぐる状況に対応するための施策の在り方については、引き続き検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすること。 (附則関係) Copyright © Shugiin All Rights Reserved.

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衆法 第217回国会 9 公職選挙法の一部を改正する法律案

メインへスキップ    公職選挙法の一部を改正する法律案  公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。  第百四十四条の四の次に次の一条を加える。  (ポスター掲示場に掲示するポスターの記載) 第百四十四条の四の二 第百四十四条の二及び前条の掲示場に掲示する第百四十三条第一項第四号の三及び第五号のポスターには、その表面に、当該ポスターを使用する公職の候補者の氏名を、選挙人に見やすいように記載しなければならない。 2 公職の候補者は、その責任を自覚し、第百四十四条の二及び前条の掲示場に掲示する第百四十三条第一項第四号の三及び第五号のポスターには、他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害し又は特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をする等いやしくも当該掲示場に掲示される当該ポスターとしての品位を損なう内容を記載してはならない。 第百四十四条の五中「前条」を「第百四十四条の四」に改める。 第百六十八条第四項中「第百五十条の二」を「第百四十四条の四の二第二項」に改める。 第二百三十五条の三の見出し中「又は選挙公報」を「、選挙公報等」に改め、同条第二項中「政見放送」を「第百四十四条の二若しくは第百四十四条の四の掲示場に掲示した第百四十三条第一項第四号の三若しくは第五号のポスターその他の文書図画、政見放送」に改める。 附 則 (施行期日) 1 この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。 (適用区分) 2 この法律による改正後の公職選挙法の規定は、この法律の施行の日以後その期日を公示され又は告示される選挙について適用し、この法律の施行の日の前日までにその期日を公示され又は告示された選挙については、なお従前の例による。 (検討) 3 選挙に関するインターネット等の利用の状況、公職の候補者間の公平の確保の状況その他の最近における選挙をめぐる状況に対応するための施策の在り方については、引き続き検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。      理 由  最近における選挙運動をめぐる状況に鑑み、選挙の適正な実施の確保に資するため、ポスター掲示場に掲示するポスターの記載に関する義務を定めるとともに、ポスター掲示場に掲示したポスターにおいて営業宣伝をした者に対する罰則を設ける必要がある。これ

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 SNS規制や「2馬力」運動は、通信の秘密、表現の自由・政治活動の自由に関わる憲法問題であるだけに、慎重にならざるを得ず、問題を先送りするのも理解できなくもない。


cf.1公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)

(政見放送又は選挙公報の不法利用罪) 

第二百三十五条の三 政見放送又は選挙公報において第二百三十五条第二項の罪を犯した者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。 

2 政見放送又は選挙公報において特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をした者は、百万円以下の罰金に処する


cf.2刑法(明治四十年法律第四十五号)

(信用毀損及び業務妨害)

第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。




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