私が住んでいる某市では、指定ごみ袋を導入しておらず、市販の無色で透明又は半透明のごみ袋で出すことができる。
このような自治体は、今では大変珍しい。
というのは、環境省が令和2年度に実施した全国市区町村向けの調査結果によると、指定ごみ袋を「既に導入している」自治体は、82.6%だからだ。
このように市区町村によって、家庭ごみのごみ袋の取り扱いが異なるのは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)により、一般廃棄物の処理が市区町村の事務とされているためだ。
しかも、ごみ減量資料室代表である東洋大学名誉教授山谷修作氏が行った「全国市区町村の家庭ごみ有料化実施状況(2024年6月現在)」によると、約66%が指定ごみ袋の有料化を実施している。
指定ごみ袋の有料化は、ごみ袋の値段にごみ処理手数料を上乗せするかどうか、いくら上乗せするかによって、自治体ごとに価格が異なる。
なお、手数料の徴収(地方自治法第227条)は、住民に義務を課すものであるから、条例に定めなければならない(地方自治法第14条第2項)。
この指定ごみ袋の有料化の理由としては、
① 家庭ごみの排出量が削減される
② ごみの分別が促され、リサイクルがすすむ
③ 家庭ごみの削減により、焼却場や最終処分場の延命が図られ、自治体の財政負担が軽減する
④ 事業者も、環境負荷を考慮に入れた製品開発や販売方法を推進するようになる
などが考えられる。
他方で、指定ごみ袋の有料化は、各世帯の金銭的負担が増加するため、不法投棄や不適正なごみ出しが増える可能性がある。
さて、なぜごみ袋の話をしたかというと、下記の記事によると、大阪府の八尾市(やおし)では、半年に一回、6か月分の家庭用指定ごみ袋を世帯人数に応じた枚数を各世帯に無料で配布しており、枚数が不足した場合には、追加のごみ袋を無料で配布している。年間1億円以上の予算が使われている。
この税金で無料配布されている家庭用指定ごみ袋がフリマサイトで大量(100件以上)に出回っているそうだ。
タダで貰えるごみ袋を誰が買うねんと思ったら、どうやら八尾市内の事業者が、本来使うことができない家庭用指定ごみ袋でごみを排出するために、これを購入しているらしい。
事業者は、事業用指定ごみ袋を1枚100円で購入するか、個別で民間の回収業者と契約しなければならないのだが、その費用を浮かせるために、家庭用指定ごみ袋をフリマサイトで購入しているのではないかという。
税金で無料配布された家庭用指定ごみ袋は、住民の所有物だから、これをフリマサイトで販売すること自体は、所有者の自由なので(民法第206条)、転売を禁止するためには、条例でこれを禁止する必要があり(地方自治法第14条第2項)、現在、八尾市は、転売を禁止する条例を検討中だそうだ。
う〜ん、転売を禁止する条例を制定し、罰則を設けたとしても、果たしてどれだけ実効性があるのか、やってみないと分からない。
おそらく様々な調査を基に、半年に一回、6か月分の家庭用指定ごみ袋を世帯人数に応じた枚数を各世帯に無料配布しているはずだから、枚数が不足した場合の追加分については、無料配布するのではなく、有料にするという方法もあるのではないか。
まあ、転売を禁止しようと、追加分を有料にしようと、家庭用指定ごみ袋が事業者用指定ごみ袋等よりも安い限り、市内在住の従業員に追加分を無料で受け取らせたり、追加分を購入させたりして、家庭ごみとしてごみを出す事業者が出てくるだろうが。
やれやれイタチごっこやね。。。
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