2020.01.30 12:40不倫報道を見るたびに思い出すこと〜J・Sミル小伝〜 朝テレビを付けたら、妻子ある男優が若い女優と浮気したという醜聞を放送していた。こんなことに費やす時間と労力とお金があるならば、もっと報道すべきことが他にたくさんあるだろうにと思って、チャンネルを替えるのだが、そこでも同じ話を大騒ぎして放送しているものだから、馬鹿馬鹿しくてテレビのスイッチを切った。 この手の不倫報道を見るたびに思い出すのが、J・Sミル著、塩尻公明・木村健康訳『自由論』(岩波文庫)だ。 現在の岩波文庫の宣伝文句には、「イギリスの思想家ジョン・スチュアート・ミル(1806ー73)の代表的著作。言論の自由をはじめ、社会生活における個人の自由について論じ、個人の自由の不可侵性を明らかにする。政府干渉の増大に対する警告など今日なお示唆を与えられ...
2020.01.27 04:45夫婦同氏制の由来 報道によると、ある国会議員がいわゆる選択的夫婦別姓について代表質問をした際に、ヤジが飛んだらしくて、大騒ぎになっている。 この国会議員にせよマスコミにせよ、必ず夫婦「別姓」と言うが、一体どこの国の話をしているのだろうか。現行民法は、夫婦「同氏」制を採っているので(民法第750条)、それを言うならば、正しく夫婦「別氏」と言うべきだろう。cf.民法(明治二十九年法律第八十九号) (夫婦の氏) 第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。 ここでは、このような喧騒から離れて、そもそも夫婦同氏制が採用されたのは、明治31年(1898年)に制定された旧民法からなので、それまでの経緯を簡単におさらいしたいと思う。 まず、明治元年3...
2020.01.23 12:05我が国が近代国家になったのはいつか? もうすぐ1月30日だ。赤穂浪士が、元禄15年12月14日(1703年1月30日)未明に吉良邸へ討ち入り、吉良上野介(きらこうずけのすけ)殿のみ首級(しるし)をあげて、主君浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)殿の無念を晴らしたことは、有名だ。 赤穂浪士が切腹を命じられたのは、将軍家お膝元において武器を携え徒党を組んで市中を騒がせたからであって、決して復讐をしたからではない。復讐は、公認されていたからだ。 復讐については、このブログでも古代ゲルマン人や古代ユダヤ人に関連して触れたが、我が国ではいつ頃から行われていたのだろうか? 神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレビコノミコト。のちの初代天皇である神武天皇)が、兄の五瀬命(イツセノミコト)とともに、ご東征の際中...
2020.01.21 12:13事実上死文化していた法律の復活 下記の日経新聞によれば、「政府は外国人や外国資本の企業による国内での土地取得を制限する検討を始めた。米軍や自衛隊の関連施設、原子力発電所の周辺など安全保障上の懸念がある地域などを対象に事前審査などを求める案がある。現在、日本国内の土地は原則として誰でも取引できるが、安全保障の観点から、一部の土地取引は監視を強める。」そうだ。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54637500R20C20A1SHA000/ 漸(ようや)く政府も重い腰を上げるようだ。30数年前、私が学生の頃から外国人の土地取得については、識者の間で憂慮されていたが、平成11年(1999年)頃から右肩上がりで外国人よる土地の爆買いが顕著になり、北海道...
2020.01.19 04:25のがれの町Fleeing to the City of Refuge (Numbers 35:11-28). From Charles Foster, The Story of the Bible, 1884.https://en.wikipedia.org/wiki/Cities_of_Refuge 「のがれの町(City of Refuge)」。まるでハードボイルドの小説や映画のタイトルのようだが、決してそうではない。聖書に出てくる町の名前だ。 信者さんを除き、通常、分厚い聖書を通読しないのではなかろうか。私は、単なる興味本位で読み始めたが、途中で何度も挫折した。そのため、ひょっとしたら「のがれの町」をご存知ない方もいらっしゃるかもしれないと思い、少しでも法...
2020.01.17 14:40「◯◯週間」の由来 今からちょうど25年前、平成7年(1995年)1月17日に、阪神・淡路大震災が起きた。これを契機に、災害時のボランティアと平時における自発的な防災活動の重要性が認識され、同年12月15日の閣議了解により、毎年1月15日〜1月21日を「防災とボランティア週間」とすることが定められた。 我が国には、このような「◯◯週間」と呼ばれるものがたくさんあるが、その由来は、あまり知られていないのではなかろうか。 というのは、その由来である「キングス・ピース 」・「国王平和」・「王の平和」で検索をかけても、ヒットしないからだ。 中世イギリスでは、「king's peace」(「キングス・ピース 」・「国王平和」・「王の平和」)が行われていた。 Merriam-Web...
2020.01.13 11:54和歌と暗記術を載せた法令 以前、iPadminiで戦艦ゲームをしたことがある。いわゆるソシャゲーだ。同じチームの中に、船舶免許を持っている人がいたので、海上交通のルールを教えてもらった。これがきっかけで、海上衝突予防法(昭和五十二年法律第六十二号)の存在を知り、その歴史を遡(さかのぼ)っていくうちに、かつて大変ユニークな法令があったことを知った。 開国後、国内外の船の往来が増加し、海難事故に遭遇する船舶が多かったため、衝突予防のために、我が国で最初に制定されたのが郵船商船規則(明治三年太政官布告第五十七号)である。この規則は、民部省と外務省が所管しており、航法や衝突責任に関する規定がなかった。 そこで、海軍省の建議により、明治5年(1872年)7月に、英国の海上衝突予防規則(...
2020.01.10 10:41意図せざる結果の法則 アメリカ合衆国のバージニア州立ジョージメイソン大学経済学部教授アレックス・タバロック(Alex Tabarrok)氏の「意図せざる結果の法則」(The Law of Unintended Consequences)というエッセーを読んだ。下記のリンクをクリック。
2019.12.31 15:001月を正月と呼ぶのはなぜか?謹賀新年 つつしんで初春のお慶びを申し上げます。 新年早々、駄文をご笑覧下さいまして、誠にありがとうございます。毎度、愚にもつかない話ばかりで恐縮ではございますが、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 令和二年 元旦源法律研修所 所長 久保 賢高 ご意見・ご感想は、いつも通り、下記のメアドまでお寄せ下さい。スパム対策として、大文字にしております。お手数とは存じますが、半角小文字にして下さいますようお願い申し上げます。 MINAMOTO.KUBOSENSEI@gmail.com